この章は図を読んできた。以下の手引きは、式を読むのと同じ注意深さで図を読むための問いをまとめたものである。

図についての五つの問い

  1. 図は何を写しているか。 図はいくつかの関係のイコンであって、すべての関係のイコンではない。グラフ理論のグラフではつながりだけ、ヴェン図では包含だけである。大事なものを見つけ、残りは無視しよう。
  2. 何が約束事か。 目盛り、軸の始まり、色、枠の比率。これらの選択は主張の形では現れないが、目が引き出す結論を変える。
  3. 長さか、面積か、角度か。 目は長さを比べるのは得意で、面積は下手で、角度はもっと下手である。どれが情報を担っているか、それが正しい比率で描かれているかを問おう。
  4. 図は証明しているのか、例示しているのか。 目が使うすべての関係が論証で保証できるなら、図は証明である。そうでなければ例示にすぎず、だますこともある。
  5. 何が抜け落ちているか。 余分な次元、入りきらない変数、軸で切り落とされた値。どの図も一つの選択であり、選択そのものが何かを語っている。

新聞のグラフ一枚の完全な読解

ある新聞が折れ線グラフで、ある品物の価格が一年で 10.00 から 10.50 に上がったことを示している。縦軸は 9.90 から 10.60 まで。線はグラフの下端から上端まで駆け上がっている。

  1. 何を写しているか: 時間に沿った価格の順序。これは正しい。
  2. 約束事: 軸がゼロから始まっていない。折れ線グラフではそれが正当なこともあるが、高さはもう大きさを測っていない。
  3. 何が情報を担っているか: 傾き。枠が縦に引き伸ばされているので、急に見える。
  4. 証明か例示か: 図は $5\%$ の上昇を例示しているが、急騰をほのめかしている。
  5. 何が抜け落ちているか: その期間のインフレ。インフレが $6\%$ なら、価格は実質的には下がっており、図は話を逆向きに語っている。

用語集

  • 図。 平面上の図形の配置によって関係を表す記号。
  • 関係のイコン。 パースにおいて、物そのものではなく、物どうしの関係の構造において対象に似ている記号。
  • オイラー図。 集合のあいだのわかっている関係に従って置かれた円。内側、外側、交わり。
  • ヴェン図。 常に交わる円で、$2^n$ 個の領域をすべて示し、空の領域に影をつける。
  • 緯度と経度(オレーム)。 性質の強さ(縦)を広がり(横)に沿って並べたもの。関数のグラフの祖先。
  • 対数目盛り。 同じ長さ進むごとに同じ因数がかけられる軸。指数的な成長を直線にする。
  • 切り詰められた軸。 ゼロから始まらない軸。棒グラフでは差を誇張する。
  • 複素平面(アルガン平面)。 $a+bi$ を点 $(a,b)$ として表すもの。$i$ をかけることは $90°$ 回すこと。
  • グラフ(グラフ理論)。 点(頂点)と線(辺)で、何が何とつながっているかだけが大事なもの。
  • 平面グラフ。 交差なしに描けるグラフ。
  • 言葉のない証明。 ほとんど、あるいはまったく説明なしに証明を見て取れるようにする図。
  • 射影。 対象の、より低い次元の空間への影。たとえば紙に描いた立方体。
練習:手引きを使う

ある円グラフが、四つの会社の市場シェアを 23%、25%、26%、26% と示している。手引きは何と言うか。

情報は角度にあり、目は角度を比べるのが下手である。四切れは同じ大きさに見える。問いが「どこが先頭か」なら、長さを比べる棒グラフが差を示すだろう。問いが「市場は分け合われているか」なら、円グラフはよく答えている。小さな差を隠すからこそである。

練習:図が無視しているもの

地下鉄の路線図の上で、二つの駅が三駅離れている。歩いて五分の距離ということはありうるか。

ありうる。路線図はグラフであり、写しているのは駅の順番と乗り換えであって、距離ではない。違う路線の二つの駅は、線路に沿えば三駅離れていても、通りに沿えば一ブロックしか離れていないかもしれない。「どれだけ歩くか」という問いに必要なのは町の地図であって、この図ではない。


章の目次 · ← 四次元:見えないものを描く · 参考文献と図版出典 →