1637 年にデカルトが『幾何学』を出版したとき、彼は曲線も方程式も発明したわけではありません。どちらも何世紀も前からありました。彼が発明したのは、その二つのあいだの橋でした。基準となる直線からの距離を測ることで、あらゆる曲線を方程式に、あらゆる方程式を曲線に変える方法です(今日デカルト座標と呼ぶ、たがいに垂直な二本の軸が定着したのは、彼よりあとのことです)。座標平面とは、何よりもまず、ある書き方を別の書き方に翻訳する機械なのです。

この翻訳はあまりになじみ深いので、それがどれほど難しいかを私たちは忘れています。フランスのレイモン・デュヴァルは、計算はよくできる生徒の多くが、なぜグラフを前にすると固まってしまうのかを生涯かけて研究し、今では数学教育の中心にある一つの考えにたどりつきました。

表現のレジスター

デュヴァルは、それ自身の規則をもつ記号の体系を表現のレジスターと呼びます。日本語やポルトガル語のような言語、代数の書き方、表、座標のグラフ、幾何学の図。「倍にして一をたす」関数のような一つの同じ対象は、そのすべての中に現れます。

  • 言葉で:「どの入力についても、出力は二倍たす一」
  • 式で:$f(x)=2x+1$
  • 表で:組 $(0,1)$、$(1,3)$、$(2,5)$
  • グラフで:縦軸と $1$ で交わり、横に $1$ 進むごとに $2$ 上がる直線

下の図を動かして、三つのレジスターで同じ点を追ってみてください。

入力 x を変えて、式・表・グラフをめぐってみよう。強調された点は、三つのレジスターで同じ関係 f(x) = 2x + 1 を追っている。

どのレジスターも、ほかのレジスターの写しではありません。$f(100)$ を計算するには式がいちばんです。表は具体的な場合を示しますが、その一部だけです。グラフは関数が増えていくこと、そしてどれだけ増えるかを一目で示します。言葉は何について話しているのかを言います。それぞれが対象の一部を照らし、別の部分を暗がりに残しているのです。

処理と変換

デュヴァルのいちばん役に立つ区別は、似ているようで実はちがう二つの活動を分けるものです。

処理とは、一つのレジスターの中での変形です。方程式を解くことは代数的な処理です。

$$2x+1=7\iff 2x=6\iff x=3.$$

約分や多項式の因数分解、表の列の合計も処理です。それらはレジスターそのものの規則に従っていて、学校はこの種の課題をとてもよく訓練します。

変換とは、あるレジスターから別のレジスターへの移行です。式からグラフへ、文から方程式へ、表から式へ。$f(x)=2x+1$ のグラフをかくには、$1$ が直線と縦軸の交点になり、$2$ が傾きになることを知っていなければなりません。それを教えてくれる代数の規則はありません。二つのレジスターがどう対応しているかを知る必要があるのです。

組 (0, 1)、(1, 3)、(2, 5) は f(x) = 2x + 1 のグラフ上にある。
組 (0, 1)、(1, 3)、(2, 5) は f(x) = 2x + 1 のグラフ上にある。この本のために作成した説明図。

上の表は三つの点を与えています。なぜそれを直線で結んでよいのでしょうか。点のおかげではありません。一直線に並んだ三点は、くねくねした曲線にも無数にのります。直線で結んでよいのは、式がこの関数は一次関数だと言っているからです。表からグラフへの変換は、式だけがもっていた情報に頼っているのです。

人をあざむく変換

デュヴァルは、変換には易しいものと非常に難しいものがあり、その難しさは二つの書き方が同じ順序で進むかどうかによることに気づきました。二つの文を比べてみましょう。

  • 「縦座標が横座標に等しい点の集合」。これは言葉どおり、同じ順序で $y=x$ になります。易しい変換です。
  • 「縦座標が横座標より大きい点の集合」。これは $y>x$ になり、グラフは直線 $y=x$ の上側の半平面です。多くの生徒が下側をぬったり、直線だけをかいたりします。

二つ目の文では、「大きい」という言葉が領域とその側にならなければなりませんが、言葉はそれを言っていません。デュヴァルは、一方の書き方の単位が他方の単位と一対一に対応しない変換を非合同と呼びます。手順を覚えただけの人と、対象を理解している人を分けるのは、こうした変換なのです。

三つのレジスターでの活動

次の文を考えましょう。「ある実数の 2 乗は 4 に等しい。」

  1. 式にすると:$x^2=4$。
  2. 処理によって:$x^2=4\iff x=2$ または $x=-2$。
  3. グラフにすると:解は、放物線 $y=x^2$ と水平な直線 $y=4$ が交わる点の横座標で、交点は $(-2,4)$ と $(2,4)$。

グラフは、式が隠していることを一目で見せてくれます。放物線の頂点より上にある水平な直線は、いつも放物線と二つの対称な点で交わるのです。ここから、計算なしに、$x^2=c$ は $c>0$ のとき解が二つ、$c=0$ のとき一つ、$c<0$ のとき実数解なしだとわかります。

練習問題:処理か、変換か
  1. $2x+2$ を $2(x+1)$ と書く:処理(代数から代数へ)。
  2. $y=2(x+1)$ のグラフをかく:変換(代数からグラフへ)。
  3. $x=0,1,2$ について $y=2(x+1)$ の表をつくる:変換(代数から表へ)で、$2$、$4$、$6$。
  4. 表の値をたす:処理(算術の中で)で、$12$。
練習問題:文から半平面へ

「縦座標が横座標の二倍より小さい点の集合」をかきます。文は $y<2x$ になります。直線 $y=2x$ を点線でかき(直線上の点は不等号をみたさないので)、その下側の領域をぬります。一点で確かめましょう。$(1,0)$ では $0<2$ で正しく、$(1,0)$ は直線の下にあります。具体的な点で確かめることが、非合同な変換に対するいちばんの防御なのです。

さらに学ぶには、デュヴァルの論文 A cognitive analysis of problems of comprehension in a learning of mathematics(2006)を参照してください。


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