第 1 章では、記号がどこから来たかを語りました。この章では、記号とは何なのかを問います。同じ横線が、$12-5$ では演算なのに、$-5$ では数の一部なのはなぜか。商人たちが比例の計算を、それぞれの数をどこに置くかを覚えることで解いていたのはなぜか。$8+4=\square+5$ が、たし算のできる多くの生徒をつまずかせるのはなぜか。$\sqrt9$ が $\pm3$ ではなく $3$ なのはなぜか。そして $\frac{dy}{dx}$ を生きた記法にしているのは、いったい何なのか。
答えるために、四人の学者の道具を使います。ソシュール(シニフィアンとシニフィエ)、モリス(統語論、意味論、語用論)、パース(イコン、インデックス、シンボル)、そしてデュヴァル(表現のレジスター)です。目的は、式を一つずつ分類にはめこむことではなく、書かれたものを前にして、よりよい問いを立てられるようになることです。