2 のべきを一列に書き、その下に指数を書きます。

$$\begin{array}{c|ccccccccccc} 2^n & 1 & 2 & 4 & 8 & 16 & 32 & 64 & 128 & 256 & 512 & 1024\\ \hline n & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 \end{array}$$

上の段は等比数列で、どの数も前の数の 2 倍です。下の段は等差数列で、どの数も前の数に 1 を足したものです。では $16\times64$ を計算してみましょう。16 の下は 4、64 の下は 6。足すと $4+6=10$。10 の上は 1024 です。たしかに

$$16\times64=2^4\times2^6=2^{4+6}=2^{10}=1024.$$

上でかけることは、下で足すことなのです。 これが法則 $2^a\times2^b=2^{a+b}$ であり、対数の考えのすべてです。

古い考え

紀元前 250 年ごろ、アルキメデスは『砂粒を数える者』で巨大な数を書く方法を考えたとき、すでにこの法則に気づいていました。1544 年、ドイツのミハエル・シュティーフェルは『算術全書』で、上のように二つの数列を並べ、等差数列での足し算は等比数列でのかけ算に、引き算は割り算に、2 で割ることは平方根をとることに対応すると書きました。

上(等比) 下(等差) 例
かける 足す $32\times8=256$、$5+3=8$ だから
割る 引く $1024\div16=64$、$10-4=6$ だから
2 乗する 2 倍する $32^2=1024$、$2\times5=10$ だから
平方根をとる 2 で割る $\sqrt{256}=16$、$8\div2=4$ だから

すき間

それほど古い考えなら、なぜネイピアより前にだれも使わなかったのでしょうか。表にすき間があるからです。$16\times64$ には使えても、$17\times63$ には使えません。17 も 63 も上の段にないのです。16 と 32 のあいだには何もなく、512 と 1024 のあいだのすき間はもっと大きい。役に立つ表には、上の段にほとんどすべての数が必要です。

ネイピアの解決策は、2 を 1 にごく近い数に置きかえることでした。2 のべきはどんどん大きくなり、大きなすき間を残します。たとえば $1.0001$ のべきは、とてもゆっくり増えます。

$$1.0001^{1}=1.0001,\quad1.0001^{2}=1.00020001,\quad\dots,\quad1.0001^{6932}\approx2.0000.$$

これほど小さな歩幅なら、上の段はどんな数の近くも通り、下の段がその「指数」を教えてくれます。ネイピアは、さらに 1 に近い数 $1-10^{-7}=0.9999999$ を使い、何年もかけてそのべきを計算しました。その結果が最初の対数表です。

練習問題:2 のべきの表を使って 64 × 256 と 4096 ÷ 32 を計算せよ。

$64=2^6$、$256=2^8$ なので、$64\times256=2^{6+8}=2^{14}=16\,384$。割り算は、$4096=2^{12}$、$32=2^5$ なので、$4096\div32=2^{12-5}=2^7=128$ です。

練習問題:1.0001 のべきの数列で、2 の指数が 6932 だとすると、3 の指数はおよそいくつか。

計算しなおす必要はありません。$1.0001^{6932}\approx2$ なので、どの数の指数もその対数に比例します。3 の指数は約 $6932\times\frac{\ln3}{\ln2}=6932\times1.585\approx10\,987$ です。たしかに $1.0001^{10\,987}\approx3.000$。指数の比は選んだ歩幅によりません。だからこそ、あらゆる対数表は、根本では目盛りのちがう同じ一つの表なのです。

出典: John Napier、Mirifici logarithmorum canonis descriptio(エディンバラ、1614)· Michael Stifel、Arithmetica integra(ニュルンベルク、1544)· Julian Havil、John Napier: Life, Logarithms, and Legacy(2014)。


ジョン・ネイピアの全トピック · ← ジョン・ネイピアの生涯 · ネイピアの二つの点:対数の定義 →

画像クレジット.