数学記法の記号論
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文字の読み方:手引きと用語集
この章では、一つの文字が少なくとも五つの違う仕事をすることができ、書かれたものはそれがどれかをほとんど言わないことを見てきました。以下の手引きは、それを見つけ出すのに役立つ問いをまとめたものです。
文字についての五つの問い
- 値を隠しているのか、どんな値でも表すのか。 隠しているなら未知数で、課題はそれを見つけることです。どんな値でも表すなら、その文は一般的な法則か恒等式です。
- 問題のあいだに動くか。 動くなら変数で、それが何に依存し、何がそれに依存するかを問う価値があります。
- ほかの文字が動くあいだ止まっているか。 それならパラメータか定数です。$\pi$ のようにいつまでも固定なのか、$ax^2$ の $a$ のようにこの問題でだけ固定なのかを問う価値があります。
- 演算子に縛られているか。 $\Sigma$、$\int$、$\forall$、$\mapsto$ の中に現れるなら束縛された文字で、別の文字に替えても何も変わりません。
- 文中のどの言葉が役割を告げているか。 「求めよ」「すべての」「とする」「とき」「が与えられたとき」。どれも現れないなら、その分野の慣習が決めます。それをはっきりさせておくとよいでしょう。
y = ax² + bx + c の完全な読み方
- $y$ と $x$: 変数。$x$ が独立変数、$y$ が従属変数です。いっしょに放物線上の点をたどります。
- $a$、$b$、$c$: パラメータ。問題のあいだ固定され、どの放物線かを選びます。$a$ はゼロであってはならず、そうでないと曲線は直線になってしまいます。
- 問いが変われば役割も変わる。 「放物線は $x$ 軸とどこで交わるか」では $y=0$ とおき、$x$ が未知数になります。「$(1,2)$、$(2,3)$、$(3,6)$ を通る放物線はどれか」では、パラメータが未知数になり、$x$ と $y$ は与えられたデータになります。$a+b+c=2$、$4a+2b+c=3$、$9a+3b+c=6$ から、$a=1$、$b=-2$、$c=3$。
- ダミーの文字は一つもない。 どれも大事です。$a$ を $k$ に替えるなら、文章全体で替えなければなりません。
短い一行に三つの違う役割があり、問いが変わるたびにすべてが組み替えられるのです。
用語集
- 未知数。 問題の条件によって決まる、まだ知られていない一つの値を表す文字。$2x+1=7$ では $x=3$。
- 一般化された数。 ある集合の任意の要素を表す文字で、その文はすべての要素について成り立つ。$a+b=b+a$ のように。
- 恒等式。 文字のすべての値について正しい等式。$(a+b)^2=a^2+2ab+b^2$ など。解くのではなく、証明するもの。
- 変数。 ある集合の値をたどる文字。ふつうは、それが依存する、あるいはそれに依存するほかの文字といっしょに変わる。
- 独立変数と従属変数。 $y=f(x)$ では、$x$ は自由に選ばれ、$y$ は規則によって決まる。問いによってこの選択が逆になることもある。
- パラメータ。 一つの問題のあいだは固定されているが、問題ごとに違う値をとりうる文字。族の中から一つの成員を選ぶ。
- 定数。 値がいつも同じ文字。$\pi$、$e$、光の速さ $c$ など。
- 自由な文字。 式の値がそれに依存する文字。$\sum_{k=1}^n k$ では $n$。
- 束縛された(ダミーの)文字。 演算子に縛られ、意味を変えずに別の文字に替えられる文字。$\sum_{k=1}^n k$ では $k$。
- 関数。 ある集合(定義域)の各要素に、別の集合のただ一つの要素を対応させる規則。$f$ が関数で、$f(x)$ は $x$ における値。
- 変数の捕獲。 同じ式の中で、同じ文字を自由な文字としても束縛された文字としても使ってしまう誤り。$\int_0^x x\,dx$ のように。
練習:手引きを使ってみる
$\displaystyle V(r)=\frac43\pi r^3$ を読みなさい。$V$ は関数の名前で、$V(r)$ はその値。$r$ は独立変数で、半径。$\pi$ は定数。$\frac43$ は数。束縛された文字はありません。「体積が $36\pi$ になる半径は?」と問われれば、$r$ は未知数になります。$\frac43r^3=36$、$r^3=27$、$r=3$。
練習:隠れた束縛された文字を見つける
定義 $f'(x)=\displaystyle\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}h$ で、束縛されている文字はどれでしょう。$h$ です。極限が $h$ をたどって消してしまい、$\Delta x$ や $t$ に替えても何も変わりません。$x$ は自由で、導関数は $x$ に依存します。$f$ は与えられた関数の名前です。