『解析教程』の第三部は積分法、つまり曲線の下の面積、体積、長さを扱う。ヴェルシエラは驚くべき例を与えてくれる。この曲線は $x$ 軸にけっして触れず、左右に果てしなく延びている。それなのに、曲線と軸のあいだの領域の面積は有限なのである。

おなじみの原始関数

$a = 1$ とすると、曲線は $y = \frac{1}{1 + x^2}$ である。導関数が $\frac{1}{1 + x^2}$ になる関数が必要だ。それは存在し、しかも古なじみである。逆正接だ。$u = \arctan x$ とすれば $x = \tan u$ で

$$\begin{aligned} \frac{dx}{du} &= \frac{1}{\cos^2 u} = 1 + \tan^2 u = 1 + x^2 \\ &\Longrightarrow\quad \frac{du}{dx} = \frac{1}{1 + x^2}. \end{aligned}$$

よって $-X$ から $X$ までの面積は

$$\int_{-X}^{X} \frac{dx}{1 + x^2} = \arctan X - \arctan(-X) = 2\arctan X.$$

$X$ を限りなく大きくすると $\arctan X$ は $\frac{\pi}{2}$ に近づき、面積全体は

$$\int_{-\infty}^{\infty} \frac{dx}{1 + x^2} = \pi$$

となる。

四つの円

直径 $a$ が何であっても、変数変換 $x = a u$ によって

$$\int_{-\infty}^{\infty} \frac{a^3}{x^2 + a^2}\,dx = a^2 \int_{-\infty}^{\infty} \frac{du}{1 + u^2} = \pi a^2.$$

曲線を生む円は直径 $a$、すなわち半径 $\frac{a}{2}$ で、面積は $\pi\frac{a^2}{4}$ である。ヴェルシエラの下の面積は、円の面積のちょうど四倍なのだ。十八世紀の数学者が好んだすっきりした結果であり、アニェージはこれを新しい微積分の力を示す例として紹介している。

ライプニッツの級数

同じ積分が、数学でもっとも美しい公式のひとつを説明する。$|x| < 1$ のとき、等比級数の和から

$$\frac{1}{1 + x^2} = 1 - x^2 + x^4 - x^6 + \cdots$$

0 から 1 まで項ごとに積分し、$\arctan 1 = \frac{\pi}{4}$ を思い出すと

$$\frac{\pi}{4} = 1 - \frac{1}{3} + \frac{1}{5} - \frac{1}{7} + \cdots$$

これが 1682 年に発表されたライプニッツの級数で、インドのケーララ学派の数学者たちはそれより前に知っていた。ヴェルシエラの言葉で言えば、曲線の下の 0 から 1 までの面積はちょうど $\frac{\pi}{4}$ で、それを生む直径 1 の円の面積と同じである。

練習:−1 から 1 までの面積

$y = \frac{1}{1 + x^2}$ の下の $x = -1$ から $x = 1$ までの面積を求めよ。それは面積全体の何分のいくつか。

$2\arctan 1 = 2 \cdot \frac{\pi}{4} = \frac{\pi}{2}$。面積全体は $\pi$ だから、$-a$ から $a$ にあたる $-1$ から $1$ の部分に面積の半分がある。残りの半分は、無限に延びる二つのすそ野にある。

練習:ライプニッツの級数はゆっくり収束する

級数の最初の四項 $1 - \frac{1}{3} + \frac{1}{5} - \frac{1}{7}$ を足し、$\frac{\pi}{4} \approx 0.7854$ とくらべよ。

$1 - 0.3333 + 0.2 - 0.1429 = 0.7238$。誤差はおよそ 0.06 で、まだ大きい。項は $\frac{1}{2n+1}$ のようにしか小さくならないので、小数五けたを正しく出すにはおよそ十万項が必要になる。美しい級数だが、$\pi$ の計算にはまったく向かない。

出典: Maria Gaetana Agnesi、Instituzioni analitiche ad uso della gioventù italiana、第 II 巻(1749)、第 III 部 · Gottfried Wilhelm Leibniz、「De vera proportione circuli ad quadratum circumscriptum in numeris rationalibus」、Acta Eruditorum(1682) · Ranjan Roy、「The Discovery of the Series Formula for π by Leibniz, Gregory and Nilakantha」、Mathematics Magazine 63(1990)。


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