これまでの章は、一行に並べて書かれる文字と記号を扱ってきた。この章は平面に書かれるものを扱う。交わる円、曲線、棒、矢印、線で結ばれた点である。図は左から右へ読むものではない。目で、一度に全体を、あるいは好きな順番で読むものである。
パースによれば、図は数学でもっとも強力な記号である。それは関係のイコンだからだ。図の形が、表すものの形を繰り返している。二つの入れ子の円は、一方の集合が他方に含まれると言うのではなく、それを見せる。だから良い図は結論をひとりでに浮かび上がらせる。同じ理由で、悪い図は誤った結論を浮かび上がらせる。グラフの目盛り、比率のおかしい図形、まっすぐに見える線は、理性が確かめる前に目を説得してしまう。