証明の読み方:手引きと用語集
この章では、等号を一行の計算から一つの証明全体まで追いかけた。以下の手引きは、その両方を読むのに役立つ問いをまとめたものである。
等号に向ける五つの問い
- 問うているのか、主張しているのか、名づけているのか。 問うているなら方程式で、することは解を見つけることだ。すべての値について主張しているなら恒等式で、することは証明することだ。名づけているなら定義で、することは受け入れて覚えておくことだ。
- 両辺の意義は同じか、それとも意味だけが同じか。 意義が同じなら、その等式は空っぽだ。違うなら何かを教えており、それが何かを問う価値がある。
- 本当の等しさか、それとも同値か。 $\frac12=\frac24$ は数としては等しさだが、分数としては同値である。$17\equiv2\pmod5$ は、二つの異なる数が同じ引き出しに入ることを言っている。
- ここで一方の辺を他方に置き換えてよいか。 計算の中ならいつでもよい。誰かが知っていることや書いたことについての文の中では、いつもよいとは限らない。
- 三つの法則は成り立つか。 関係が対称でない($:=$、ビッグ・オーの $=$)か推移的でない($\approx$)なら、それは本当の等号ではなく、$A=B=C$ という鎖は働かなくなる。
証明に向ける五つの問い
- いったい何が主張されているのか。 言明とその文字を見つける。どれが任意で、どれが与えられたものか。
- 「とする」はどこにあるか。 そこで一般が特殊になる。言明が与えるもの以外に、特殊な場合について何も仮定されていないことを確かめる。
- 行と行をどんな矢印がつないでいるか。 $=$ と $\Leftrightarrow$ の鎖は両方向に読める。$\Rightarrow$ の鎖は、始めから終わりへしか通用しない。
- それぞれの仮定はどこで開き、どこで閉じるか。 「仮定する」が出てくるたびに、それがどこで終わるかを探す。内側で導入された文字は、外側には存在しない。
- 何が省かれたか。 「容易にわかる」も、省略記号も、「同様に」も、どれも読み手が埋められるはずの一歩である。
短い証明の完全な読解
命題。 すべての整数 $n$ について、$n^3-n$ は $6$ で割り切れる。
証明。 $n$ を整数とする。このとき $n^3-n=(n-1)\,n\,(n+1)$ で、これは三つの連続する整数の積である。三つの連続する整数のうち、一つは $3$ の倍数であり、少なくとも一つは偶数である。ゆえにこの積は $2$ の倍数かつ $3$ の倍数であり、したがって $6$ の倍数である。$\blacksquare$
- 言明はすべての整数について語っている。$n$ は一般化された数である。
- **「$n$ を整数とする」**はユークリッドの提示である。整数であること以外、$n$ について何も仮定していない。
- $n^3-n=(n-1)n(n+1)$ は恒等式で、鎖 $(n-1)n(n+1)=n(n^2-1)=n^3-n$ によって証明される。ここで等号は、ある書き方をより役に立つ意義をもつ書き方に取り替えている。因数分解した形は三つの連続する数を見せるが、もとの形は見せない。
- **「三つの連続する整数のうち、一つは 3 の倍数である」**は、証明なしに持ち出された事実である。その背後には同値がある。$3$ を法とすると、三つの連続する数は引き出し $0$、$1$、$2$ に一つずつ入る。
- **「ゆえに……したがって」**は二つの $\Rightarrow$ の段階を示している。二つめは、$2$ と $3$ が公約数をもたないことを使っており、これも省かれた事実である。
- $\blacksquare$ が証明を閉じ、読み手を一般的な言明へ戻す。
用語集
- 等しさ。 同じ対象を指す二つの式のあいだの関係。反射的、対称的、推移的である。
- 意義と意味。 式の意味とはそれが指す対象であり、意義とはそれが対象を差し出す仕方である。$2^{10}$ と $1024$ は意味が同じで意義が異なる。
- 方程式。 文字を含み、問いとして読まれる等式。どの値で成り立つか。その解の集合が答えである。
- 恒等式。 文字のすべての値について成り立つ等式。$\equiv$ で書かれることもある。
- 定義。 式に名前をつける等式。$:=$ で書かれることもある。
- 同値関係。 反射的、対称的、推移的な関係。対象を同値類に分ける。
- 合同。 $m$ が $a-b$ を割り切るとき $a\equiv b\pmod m$。余りの同値関係で、1801 年にガウスが導入した。
- 含意。 $P\Rightarrow Q$:$P$ が正しいときはいつも $Q$ も正しい。
- 論理的同値。 $P\Leftrightarrow Q$:$P$ と $Q$ はちょうど同じ場合に正しい。「〜のときかつそのときに限り」と読む。
- 無縁解。 解く過程の最後に現れるが、もとの方程式を満たさない解。$\Leftrightarrow$ でない $\Rightarrow$ の段階によって入り込む。
- 計算的証明。 どの輪にも理由がついた等式の鎖。
- 背理法。 示したいことの否定を仮定して矛盾を導く証明。
- 数学的帰納法。 基底と帰納の段階の二つの部品で、ある主張がすべての自然数について成り立つことを示す証明。
- 反例。 一般的な主張が成り立たない一つの場合。一つあれば反駁には十分である。
- Q.E.D. と $\blacksquare$。 証明の終わりのしるし。quod erat demonstrandum とハルモスの墓石。
練習:等号の手引きを使う
$\displaystyle\cos2x=\cos^2x-\sin^2x$ を読め。これはすべての $x$ について主張している。恒等式である。両辺はどの $x$ についても意味は同じだが、意義が違う。左辺は 2 倍の角について、右辺はもとの角について語っている。方程式として読むと、「どの $x$ で成り立つか」という問いの答えは「すべて」になる。誰かが $\cos2x=1$ と書いたなら、そこには問いがあり、答えは $x=k\pi$($k$ は整数)である。
練習:証明の手引きを使う
省かれた一歩を見つけよ。「$n^2$ が偶数ならば $n$ は偶数である。証明:$n$ が奇数なら $n=2k+1$ で、$n^2=4k^2+4k+1$ は奇数になる。$\blacksquare$」
この証明は仮定(「$n$ が奇数なら」)を開き、それが $n^2$ を奇数にすることを示して、そこで止まっている。省かれたのは閉じる一歩だ。「これは $n^2$ が偶数であることに矛盾する。ゆえに $n$ は奇数ではなく、したがって偶数である」。この証明はまた、どの整数も偶数か奇数のどちらかであることを、言わないまま使っている。