自分の名がついた曲線を、アニェージが発見したわけではない。しかしこの曲線が知られるようになったのは彼女の本を通じてだった。彼女はこれを、幾何学的な作図から方程式へ移る方法の例として使った。それこそがデカルトの新しい方法の約束していたことである。 作図 直径 $OM = a$ の円を、$O$ を下、$M$ を上にして描き、$M$ で円に接する直線を引く。そして 接線の上に任意の点 $N$ をとる。 直線 $ON$ を引く。これは円と点 $A$ で交わる。 曲線の点 $P$ は、$N$ を通る縦の線と、$A$ を通る横の線の上にある。 $N$ を接線にそって動かすと、点 $P$ は釣鐘の形の曲線をえがく。 この対話型の図を使うには JavaScript を有効にしてください。議論の全体は本文にあります。 方程式 $O$ を原点におき、$y$ 軸を直径にそってとる。円の中心は $\left(0, \frac{a}{2}\right)$、半径は $\frac{a}{2}$ だから $$x^2 + \left(y - \frac{a}{2}\right)^2 = \frac{a^2}{4} \quad\Longleftrightarrow\quad x^2 + y^2 = ay.$$$M$ での接線は直線 $y = a$ で、点 $N$ は $(n, a)$ である。直線 $ON$ 上の点は $(tn, ta)$ の形をしている。円の方程式に代入すると
やはりドシテオスにささげられた『螺旋について』で、アルキメデスは運動によって定義される新しい曲線を調べている。 平面上の直線が、固定された一方の端のまわりを一様な速さで回転して出発点の位置にもどり、同時に一点が固定された端から出発して直線にそって一様な速さで動くならば、その点は平面上に螺旋をえがく。 — アルキメデス『螺旋について』、定義 方程式 極座標では、点から中心までの距離 $r$ は、直線が回った角 $\theta$ と同じ割合で増える。 $$r = a\,\theta.$$一回転するごとに半径は同じだけ、$2\pi a$ ずつ増えるので、続く巻きは等しい間隔で並ぶ。レコード盤の溝や、地面に巻いたホースのようにである。 円の三分の一 アルキメデスは、最初の一回転のあいだに半径がはく面積を計算した。手法はここでも取りつくし法で、一回転を多くの細い扇形に分け、曲線の内側のものと外側のものを足しあわせる。現代の記法では、角 $d\theta$、半径 $r$ の扇形の面積は $\frac{1}{2}r^2\,d\theta$ だから $$A = \int_0^{2\pi} \frac{1}{2}(a\theta)^2\,d\theta = \frac{a^2}{2}\cdot\frac{(2\pi)^3}{3} = \frac{4}{3}\pi^3 a^2.$$最初の一回転の終わりの半径 $R = 2\pi a$ を半径とする円の面積は $\pi R^2 = 4\pi^3 a^2$ である。螺旋の面積はそのちょうど三分の一になる。 $$\frac{A}{\pi R^2} = \frac{\frac{4}{3}\pi^3 a^2}{4\pi^3 a^2} = \frac{1}{3}.$$そこにたどり着くために、アルキメデスは平方の和 $1^2 + 2^2 + \cdots + n^2$ についての公式を必要とした。それは、この和が $\frac{n^3}{3}$ と $\frac{(n+1)^3}{3}$ のあいだにあると言うのと同じことである。微積分で $\int x^2\,dx = \frac{x^3}{3}$ を与えるのも、この和である。 この対話型の図を使うには JavaScript を有効にしてください。議論の全体は本文にあります。