晩年のフォン・ノイマンは、哲学のように聞こえる問いを自らに投げかけた。機械は自分自身の複製をつくることができるか。難しさは論理にある。複製をつくるには、機械は自分自身の記述を必要とする。だが記述は機械の一部なので、記述そのものも記述しなければならず、こうして終わりのない後退に陥る。 記述、構成機、複写機 1948 年からの講演でフォン・ノイマンが示した出口は、三つの部品を分けることだった。 任意の機械 $X$ の記述 $D(X)$ を読んで $X$ をつくる構成機 $A$ どんな記述でも、理解することなく複写する複写機 $B$ 二つをつなぐ制御機 $C$ さて、機械 $A + B + C$ に、それ自身の記述 $D(A + B + C)$ を与える。構成機は記述を読んで新しい機械 $A + B + C$ をつくり、複写機は記述の写しをつくって新しい機械に渡す。結果は、自分自身の記述をもった完全な複製である。後退が止まるのは、記述が二通りに使われるからだ。一度は実行すべき命令として、もう一度は読まずに写すテキストとして。 DNA より前に 1953 年、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックは DNA の二重らせんを記述した。細胞が行っているのは、まさにフォン・ノイマンが予言したことだった。DNA はリボソームによって読まれてタンパク質がつくられ(構成機)、細胞が分裂するときには解釈されることなく一文字ずつ写される(複写機)。フォン・ノイマンは、生物学が生命のやり方を示すより前に、機械について考えることで増殖の論理構造にたどり着いたのである。 セルの格子 このアイデアを厳密にするため、フォン・ノイマンには機械を組み立てられる単純な「宇宙」が必要だった。ウラムの提案で、彼は小さな正方形からなる無限の格子を使った。各正方形は 29 の状態のどれかにあり、すべてが各ステップで同時に、四つの隣の状態に応じて変わる。この格子の中に、彼はテープを読み、自分自身の複製をつくり、テープを写すことのできる、途方もない数のセルからなる巨大な配置を設計した。この仕事は彼の死の時点で未完成だったが、共同研究者のアーサー・バークスが完成させ、1966 年に『自己増殖オートマトンの理論』という題で出版した。 スタニスワフ・ウラムのロスアラモスの身分証。機械のための宇宙としてセルの格子をフォン・ノイマンに提案したのはウラムだった。Los Alamos National Laboratory · Wikimedia Commons · パブリックドメイン こうした格子は今日セル・オートマトンと呼ばれる。1970 年、イギリスのジョン・コンウェイは、生と死の二つの状態しかなく、規則も一行で済むものを発明した。生きたセルは生きた隣(斜めも数える)が 2 個か 3 個なら生き残る。死んだセルは生きた隣がちょうど 3 個なら誕生する。それ以外は死ぬか、死んだままである。コンウェイがライフゲームと呼んだこの仕組みはきわめて豊かで、その中でも計算機や自己複製する機械を組み立てることができる。 練習:ブリンカーライフゲームで、横一列に並んだ三つの生きたセルは「ブリンカー」をなす。次のステップでそれが縦一列になることを示せ。 真ん中のセルは生きた隣が 2 個なので生き残る。両端のセルは生きた隣が 1 個しかないので死ぬ。真ん中のすぐ上とすぐ下の二つのセルは、生きた隣がちょうど 3 個(横列の三つ)なので誕生する。結果は縦一列の三つである。同じ推論で、次のステップには再び横になり、この模様は永遠に点滅し続ける。