積の法則:一つの計算に二つの変化
$u$ がどう変わり、$v$ がどう変わるかわかっているとき、積 $uv$ はどう変わるでしょうか。自然な予想は変化同士を掛けること、$d(uv)=du\cdot dv$ です。なんとも対称的で、エレガントに見えます……
ライプニッツも同じ予想をしました。
ライプニッツの検証と失敗 文字 $d$ を使い始めた 1675 年 11 月 11 日の同じ手稿で、ライプニッツは自問しました。$d(xy)$ は $dx\,dy$ と等しいのか、$d\!\left(\frac xy\right)$ は $\dfrac{dx}{dy}$ と等しいのか。彼はエレガントさを信じるかわりに、例を使って確かめ、成り立たないことを見つけました。数日後、彼は正しい法則を見つけました。
これは大切な教訓です。微積分の発明者でさえまちがえ、彼らを救ったのは検算でした。
自分でも試してみましょう。$u=x$、$v=x$ とすると積は $x^2$ で、その導関数は $2x$。ところが導関数同士の積は $1\cdot1=1$。合いません。
大きくなる長方形 $u$ と $v$ を長方形の 2 辺、$uv$ をその面積と考えましょう。2 辺をほんの少しずつ増やします。$u$ は $u+du$ に、$v$ は $v+dv$ になります。
新しい面積は $(u+du)(v+dv)$ です。どれだけ増えたでしょうか。
$$d(uv)=(u+du)(v+dv)-uv=v\,du+u\,dv+du\,dv.$$幾何学的には、長方形は三つの部分を得ました。面積 $v\,du$ の細長い帯、面積 $u\,dv$ のもう一本の細長い帯、そして角にある面積 $du\,dv$ の小さな正方形です。
小さな正方形は二つの無限小の量の積なので、帯に比べて無限に小さい。ライプニッツはそれを無視して、
$$d(uv)=u\,dv+v\,du$$を得ました。予想の $du\,dv$ は、まさにどうでもいい部分だったのです。
極限を使った書き方 今日では $p(x)=f(x)\,g(x)$ と書き、増加分を増分 $h\ne0$ で割ります。
$$\frac{\Delta p}{h}=g\,\frac{\Delta f}{h}+f\,\frac{\Delta g}{h}+\frac{\Delta f}{h}\,\Delta g.$$$h\to0$ のとき、最初の 2 項はそれぞれ $gf'$ と $fg'$ に近づきます。最後の項はゼロに近づきます。$\dfrac{\Delta f}{h}$ は決まった数 $f'$ に近づき、$\Delta g$ はゼロに近づくからです。したがって