神秘の六角形:円錐曲線上の六つの点
1640 年 2 月、片面だけに印刷された、ポスターのような一枚の紙がパリで出回りました。題は『円錐曲線試論』。証明はなく、定義と三つの補題、そして結果の一覧だけが載っていました。著者は 16 歳で、名前はブレーズ・パスカルといいました。
メルセンヌ神父がこの紙をデカルトに見せると、デカルトは疑いました。この若者は、パスカルが敬愛していた建築家で幾何学者のジラール・デザルグから、すべてを借りてきたのだろうと考えたのです。デザルグの影響は確かにあり、パスカル自身もそれを認めていました。しかし、この紙の中心にある結果は新しいものでした。
円錐曲線 円錐を平面で切ってみましょう。傾きによって、切り口のふちは楕円、放物線、双曲線のいずれかになります。円は楕円の特別な場合です。これらの曲線、円錐曲線は、紀元前 3 世紀のアポロニオスの時代から研究されてきました。
デザルグは、この分野を変える発想をもっていました。円錐曲線を円の影として見るのです。懐中電灯で円を照らすと、壁に映る影は楕円にも放物線にも双曲線にもなります。ですから、円の性質のうち、距離や角度を測らずに点と直線だけで語れるものは、影の中でも生き残り、すべての円錐曲線について成り立ちます。これが射影幾何学の考え方です。
六角形の定理 円錐曲線上に六つの点 $A,B,C,D,E,F$ をこの順にとり、結んで六角形を作ります。向かい合う辺は $AB$ と $DE$、$BC$ と $EF$、$CD$ と $FA$ です。それぞれの組を交わるまで延ばします。
$$P=AB\cap DE,\qquad Q=BC\cap EF,\qquad R=CD\cap FA.$$パスカルの定理によれば、三点 $P$、$Q$、$R$ はいつも一直線上にあります。
六つの点は曲線上でどんな順番に並んでいてもよく、六角形は自分自身と交差していてもかまいません。向かい合う二辺が平行なら、それらは「無限遠点」で交わり、直線はそれらと平行になります。パスカルはこの図形を神秘の六角形と呼びました。
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四百の系
メルセンヌによれば、パスカルはこのたった一つの定理から約四百の系を導き、その中にはアポロニオスの円錐曲線論のほとんどすべてが含まれていました。彼は 1654 年ごろ、完全な論文を書き上げました。1676 年、ライプニッツはパリでその原稿を読み、すばらしいと考えて一家に出版を勧めました。しかし誰も出版せず、論文は失われてしまいました。 放物線で確かめる 計算で定理を確かめてみましょう。放物線 $y=x^2$ 上に、$x$ 座標が $0,1,2,3,4,7$ の六つの点をとります。
$$A=(0,0),\ B=(1,1),\ C=(2,4),\ D=(3,9),\ E=(4,16),\ F=(7,49).$$まず近道を一つ。放物線上の $x$ 座標が $u$ と $v$ の二点を通る直線は
$$y=(u+v)x-uv.$$です。実際、$x=u$ では $u^2+uv-uv=u^2$、$x=v$ では $v^2$ になります。では三つの交点を計算しましょう。